瞳を閉じて

瞳を閉じて




あなたのいない夜は長い
チクタクチクタク 時計の音
外はしんしん 雪が降る
がらんと広い寝室にひとり
瞳を閉じて あなたの気配を探して
俺はそっと あなたの名前を呼ぶ



明日は あなたの誕生日
誰よりも美しい 俺だけの恋人
この腕の中にいないときでさえ
俺はあなたのぬくもりを感じてる
あなたはいつも 俺の心に住んでいるから



明日 36歳になるんだね
俺を置いて 一歩また先に行ってしまう
これからまた 半年間
6歳の年の差が 俺たちを隔てる
いつからだろう
それをせつないと 思うようになったのは



昨日のあなたよりも 今日のあなたのほうが綺麗
今日のあなたよりも 明日のあなたのほうがきっともっと綺麗
時を経るたびに 年を重ねるごとに
息を呑むほど 美しくなるあなたから
俺はいつも 目が離せない



こんな凍てつく夜
外はしんしん 雪模様
窓の外には 雪明かり
岩城さん ねえ 岩城さん
あなたの肌の熱さが恋しい
あなたに包まれて眠りたい



去年のあなたよりも 今年のあなたが好き
今年のあなたよりも 来年のあなたをきっともっとずっと愛してる
あふれる想いは とめどなく
慕う気持ちも 焦がれる心も果てしなく
瞳を閉じて 俺は言葉を探す
あなたに捧げる 特別な言葉を



今年も来年も その次の年も
10年後も20年後も そう 50年後も
あなたの帰ってくる場所はここだよ
俺が愛しているのは あなただよ



この胸で この腕で この唇で
あなたを守りたい
やさしく包んで 暖めてあげたい
いつまでも いつまでも



瞳を閉じて 俺はあなたに呼びかける
あなたの不安を拭いとってあげたい
年齢を数えて 数えるたびに
俺を失う心配をするあなたに
それは杞憂だと伝えたい
あなたの美しさに 息を奪われて
あなたの永遠の愛を乞うのは
俺のほうなんだって



あなたのいない夜は長い
瞳を閉じて 俺はあなたを脳裏に描く
俺の下であえかに息を乱して
濡れた瞳で 俺を見上げるあなた
奇跡のように美しい 俺だけの恋人



こんな凍てつく夜
窓の外には 雪明かり
あなたを抱いて 優しく抱いて
去年も 今年も 来年も
昨日も 今日も 明日も
俺のありったけを 注ぎ込んで伝えたい



岩城さん ねえ 岩城さん
昨日のあなたよりも 今日のあなたのほうが綺麗
今日のあなたよりも 明日のあなたのほうがきっともっと綺麗
時を経るたびに 年を重ねるごとに
息を呑むほど 美しくなるあなたに
俺はいつだって 夢中なんだよ



あなたのいない凍てつく夜
チクタクチクタク 時計の音
外はぼんやり 雪明り
ここにあなたは いないけれど
俺はそれでも あなたの愛に包まれてる
こんな贅沢なことってないよね



帰っておいで 早く帰っておいで
俺のところに
あなたのことしか考えられない 俺のところに
お誕生日おめでとうって
誰よりも先に 言いたいから



夢のように けぶるまなざし
はらりと零れる黒髪
あなたに溺れて 身も世もなく溺れて
日々押し寄せる想いに 身動きができないほど
狂おしいほどに 愛しているよ



明日は あなたの誕生日
せつないほどに 大切な日
俺を置いて 一歩また先に行ってしまう
これからまた 半年間
6歳の年の差が 俺たちを隔てるけど



岩城さん ねえ 岩城さん
去年のあなたの愛よりも 今年のあなたの愛が欲しい
今年のあなたの愛よりも 来年のあなたの愛が欲しい
ふたりで並んで歩こう
一生手を繋いで 心を繋いで
ゆっくりゆっくり 歩いていこうね
何があっても 俺はあなたを離さないから



外はしんしん 雪が降る
ほんのり淡い雪明かりが
あなたのいない 寝室を照らす
ぬくもりを探して 残り香を探して
瞳を閉じて 俺はあなたに呼びかける



好きだよ 岩城さん
本当に好きだよ
手のひらを重ねて 齢を重ねて
俺たちはゆっくり 生涯の誓いを果たす
病めるときも 健やかなるときも
あなただけをまっすぐに見つめて 生きていきたい



明日は あなたの誕生日
早く 早く帰っておいで
俺の待つ このあたたかい場所へ
俺の胸のぬくもりの中へ
あなたに生涯 焦がれ続ける
あなたの俺のところへ




ましゅまろんどん
14 January 2006


2012年11月20日、サイト引越にともない初掲載(元は春抱き同盟への投稿作品)。文章に最低限の改訂を施しています。